映画の煉獄さんに心打たれた人、たくさんいると思います。
煉獄さんは何を思い、行動していたんだろ?
小説では、どういう心理状態だったのか、何を考えていたのか、どういう状況なのかといったものを説明してくれています。
それがまた泣ける! 煉獄さーん!!!
それでは、私のお気に入りの場面を紹介します♪
列車に乗り込んでから
炭治郎が煉獄さんに、ヒノカミ神楽について話すシーン
・正面を向いたままの煉獄にあわせて、炭治郎もまっすぐ背筋をのばす。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
・いちいちあいづちをはさんでくる煉獄に、炭治郎はとまどう。どうも話しづらい。同じテンポに合わせればいいのか?
炭治郎、「どうも話しづらい」なんて思ってたの?
煉獄さんが前をまっすぐ見てハキハキ喋っているから、その柱(上官)を前にした炭治郎も「自分もそういう喋り方をしなければ!」と思ってしたのだと思っていました。
煉獄さんが鬼を二体倒した後
「す、す・・・すげぇやアニキ!!見事な剣術だぜ!!」市松模様の羽織の少年がかけよってくる。赤みがかった髪、日輪の花札のような耳飾り。この少年の名はなんだったかな。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
溝口 ― いや、かまど少年だ。こんな顔だったかな。なんか違う気もするが。
そう。
これは煉獄さんの夢だったのです。
みなさん、漫画や映画だけで気づきました?!
私はこのシーンが誰かの夢だったことにすら気づいていませんでした。
ましてや煉獄さんだっとは。
映画のパンフ読んで、あとからで知りました。
「みんなまとめてめんどう見てやる!」煉獄は笑う。実に愉快だ。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
楽しいぞ。よかったな。若い後輩はいいものだ。
ははははは、はははははは。煉獄は三人の少年たちと、いつまでもいつまでも笑いつづけた。
「煉獄さん、後輩たちに自分が強く頼もしいところを披露できて、嬉しかったんだなぁ。」
と思うと、うるうるしてしまいました。だってこの睡眠が最後の睡眠だから…。
過去だけじゃなく、楽しい夢もちゃんと見れてよかった!
それにしても、柱でも後輩に認めてもらったり慕われたりすると嬉しいもんなんだ。
少年みたい。かわいい。
夢の中
禰豆子と駆け回る夢の中の善逸
そういえば、禰豆子ちゃんって、なんでいいままでしゃべれなかったんだっけ?
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
ああ、どうでもいいや。いまはそんなのどうでもいい。
楽しいな、楽しいな。もうずっと、ずっと、こうしていたい。あはははははは・・・。
小説でも禰豆子のことを「かわいい、かわいい」の連発でした!
しかし、禰豆子が喋ったことに、少しだけれど違和感があったんだ。
どうでもいいとと言うのが、また善逸らしいけど(笑)。
父親に柱になったことを報告しに行った夢の中の煉獄さん
煉獄はしずかにたちあがる。背を向けたままの父に礼をし、部屋をでた。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
こんなときまで、まぁなんと礼儀正しい青年なのでしょう!
言い返さず、注意もせず、父親の心情を察し、ありのままの父親を受け入れる…優しすぎる。
というか、どんなときでも親への礼を重んじなければならないほどの良家ということなんでしょうね。
・煉獄は目をほそめて弟を見つめた。しずかな悲しみが、煉獄の胸にわきあがる。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
・父は自分たち兄弟を、きびしくもあたたかく指導してくれた。太刀筋の良さをほめてくれたときの笑顔を、いまもあざやかに思い出せる。
・煉獄は迷いを断つかのようにかすかに首を横にふった。
・煉獄は笑顔をつくって、弟の顔をのぞきこんだ。
・弟の手を強くにぎりしめた。
しずかな悲しみ…。
「自分が柱になれば、父も改心してくれる」と思っていたもんね。
父親のあの笑顔は、幼い煉獄さんをほめたときの笑顔だったのですね。
それをはっきり覚えているなんて、煉獄さんよほど嬉しかったんだ…。
幼いのに、柱(父親)に太刀筋の良さをほめてもらえるなんて、さすが!
煉獄さん、弟のために笑顔をつくっていたんだと知り、切なくなりました。
あの手は、強く握りしめていたんだ…。
夢だと気づき、家族みんなに背を向けて去る炭治郎
あの日、あんなことがなかったら。(略)
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
みんなで川で水をくみ、少しの米をわけ合って食べ、母と禰豆子は花子につくろいものを教えてー。
映画でのこのシーン、号泣でした。
何度見ても絶対泣ける!
が、小説で私が気に留めたのは、「少しの米をわけ合って食べ」のところ。
貧しかったんだな…。映画ではけっこうごはんの量あるんだと思ったけれど。
そう思うと、大食いの煉獄さんや蜜璃ちゃんはやっぱり裕福。
義勇さんも親の遺産で姉弟が暮らしていけるくらいのおうちだし、しのぶもお嬢様だし、伊黒も金持ちだし、天元も忍びのエリート家系だからお金に困ることはなかっただろうし。
柱って、恵まれた家系の人が多いなと思いました。
目覚めてから
煉獄さんが目覚め、斬撃を受けた魘夢
「なっ・・・なにがっ?!」
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
列車と一体化した魘夢は、体のなかに爆発するような痛みを感じて絶句した。
後方の車両から、灼熱の物体が内部をかけぬけていく。
焼けつくような衝撃が、魘夢の肉を切り裂く。
列車がはねあがり、線路からういた車輪がからまわる。
このシーン、好き!
煉獄さんの威力のすごさを強調するために、魘夢のもっともがくシーンがほしかった。
「竈門少年!」熱気をまとった煉獄が、目の前に立っていた。(略)
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
そう言うと、煉獄はたちあがり、一瞬腰を落としたかと思うと、ドッと床をけった。
ものすごい衝撃が走り、熱風が渦を巻く。
次の瞬間、煉獄の姿はもうどこにもなかった。
(すごい・・・!!見えない!)
彼が走り去っただろう後方にむかい、炎の気配がただようばかりだ。
煉獄さんって、技を出したときだけじゃなく、戦闘態勢のときは移動ですら熱気をまとっているんだ!カッコいい!!
「技を出したときの斬撃は、実際に炎や水が出ているわけではなく、見ている人がそのように見える(感じる)だけ」と書いてあったのを読んだことがあったのですが、熱気はしっかりまとっていたんですね!
列車が横転し、最期を迎える魘夢
アイツだ!アイツのせいだ!!と魘夢は血走った目を見開く。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
鬼狩りの柱!炎の呼吸の男!!
(二百人も人質をとっていたようなものなのに、それでも押された。おさえられたーこれが柱の力・・・!!)
乗客に触手をのばすたび、あの炎刀に焼かれた。
五両の客車を縦横無人に飛びまわり、どんなにはしからでも気配を察知して、熱風とともにあらわれた。
めちゃくちゃかっこいい!!!
煉獄さんが五両の客車を縦横無尽に飛べまわって切りつけるシーン、もっともっと見たかった!
いくら魘夢が「アイツだ!」とか言っても、そのシーンがないので、ネット上では「炭治郎たちのほうが大変だったんじゃないの?煉獄のほうが楽だったんじゃないの?」なんて言われていました。
汚名返上だ!
煉獄が炭治郎に止血法を教え「集中」というシーン
その瞬間をみすかしたように、煉獄の指がトン、と額にあてられた。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
その一点から、ぬくもりと力が伝わってくる。道筋をてらす松明(たいまつ)のように。
炭治郎が、煉獄さんのその指一本からだけでぬくもりと力を感じ取れたのは、煉獄さんに対する安心感と信頼感が大きかったからだろうなぁと思いました。
猗窩座との戦い
お腹に猗窩座の一撃が入ったとき
重い一撃が煉獄の腹にはいった。激痛に顔をゆがめ、しかし煉獄は瞬時につぎの技をくりだす。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
アニメのキャラクターたちはどんなに殴られても「痛い」と言いません。
だけど、痛くない人間などいるはずがない。
「激痛に顔をゆがめ」の文字を見ると、それでも闘志を燃やし続け、戦おうとする煉獄さんに涙が出ます。
一連の攻撃が終わり、奥義「煉獄」を出す前
・煉獄の肩が上下している。息があらい。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
・煉獄のマントのすそから、刀を下げた手が見える。その手がふるえている。
・煉獄の息の音だけが、あたりにひびく。
・おそらくは、たっているのもやっとだろう。肩がはげしくゆれ呼吸が乱れている。
これが人間だよね・・・。
煉獄さんはいくら強くても、普通の人間なんだよね。
不死身じゃないんだよね。
息が上がり、刀を下ろした手のアップが風になびくマントから見えましたが、手が震えていたとは気づきませんでした。
奥義「煉獄」を出したあと、炭治郎の目にうつった煉獄
日輪刀をふりあげたままたちつくしている煉獄の姿ー・・・。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
かはっ、と、煉獄の口から血反吐がこぼれた。
このシーン、映画にも漫画にもしっかりありました。
だけど、文章で書かれていると、なんとも言えない気持ちになります。
あの煉獄さんが「日輪刀をふりあげたままたちつくしている」だなんて…。
煉獄さんの最期
炭治郎を呼び寄せる煉獄さん
・それはとてもおだやかで、やさしい声だった。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
・おそらくもう指一本動かすこともできないのだろう。
・全身が傷だらけで、左目ももうひらかない。けれども残った右目は澄んで、光をたたえている。
あの煉獄さんが・・・。
ついさっきまで五両の客車を縦横無尽に熱気をまとって動き回っていた煉獄さんが、もう指一本も動かせないだなんて!
光をたたえ、澄んでいる右目。
そこから、煉獄さんは「俺は十分やり切った!悔いはなし!」と納得しているように感じました。
もうすぐ死んでしまうことに対する恐怖もないようです。
「老いも死も人間というはかない生き物の美しさであり、だからこそたまらなく愛おしい」と言っていた煉獄さん。
後悔や恐怖がなくてよかった。
弟や父親のことなど、気がかりはあるだろうけれど。
炭治郎に遺言を託し、亡くなるまで
・煉獄の声は、少しずつふるえはじめる。あふれた血が地面を染めていく。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
・煉獄はほほ笑んだ。
・煉獄はなおも笑った。
・血が止まらない。煉獄の声はしだいにかすれ、小さくなっていく。
・煉獄は笑った。
・ほそめられた彼の瞳から、少しずつ光が消えていく。
・視界がしずかにぼやけ、意識が遠のいていく。
・煉獄は子供のような笑みをうかべ ー そして、ゆっくり目を閉じた。
煉獄さんの一連の行動だけをピックアップしてみました。
なんて笑顔の多い人なんでしょう。
自分が死にゆく状況でも炭治郎たちを気遣う姿が、セリフからだけでなく、笑顔からもしっかりみてとれます。
死ぬ直前まで、強く優しい人だということがわかる表現でした。
列車大事故について
これだけの大事故で死者が出なかったのは奇跡、と人は言うだろう。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
鬼の存在は、世間ではふせられている。明日の新聞では、ただの脱線事故として報道されるはずだ。
もし何か見たものがいたとしても ー それは恐怖ゆえの世迷言、夜汽車で見た悪夢として片づけられるだろう。
「死者が出なかった」か···。
みんなを守ったのは、煉獄さんなのに。煉獄さんも乗客だったのに。はじめからいないものとされるんだ···。
エンドロール前、炭治郎が一人、「煉獄さん···」というシーン
「煉獄さん···煉獄さん···!」ああーだけど。だけどーいかなければ。ふるえる手を自分の心臓にあて、ぎゅっと隊服のうえからにぎりしめる。ここにー煉獄さんはいる。煉獄さんの炎のかけらは、ここに灯っている。
劇場版鬼滅の刃 無限列車編ノベライズより
炭治郎の悲しみだけでなく、自分のふがいなさや自責の念、後悔などを思うといたたまれないです。
「あーだけど。だけどーいかなければ。」
ここがエンディングの「炎」の歌詞、「手を取りそして離した未来のために」に繋がっているんですね。共に手を取り合って戦ったけれど、運命はあの世とこの世の世界に別れてしまった。でも立ち止まらず未来のために進む炭治郎の決意。
炎は何回聞いても泣けます。